推しが事務所を辞めました
大手アイドル事務所のオタクを15年間やっているアラサー女子です。昔の話。
小学生の時、6人のアイドルグループを好きになった。
全員かっこいいお兄さん達で、それぞれに得意分野があって、いろんな方面で活躍してる。
集まると、ひとつのグループとして、楽しい曲やかっこいい曲をパフォーマンスして、わたしたちを元気にしてくれる。
いろいろあったグループで、再始動のタイミングだった。彼らの笑顔は本物だった。それぞれのグループへの思いを強く感じた。
未来はずっと明るいと思っていた。
そんな彼らが大好きだった。
関西弁のお兄さんもいて、わちゃわちゃの中にスパイスが効いてる感じがして、大好きになった。
6人でずっとずっと活動して欲しいし、一緒にもっと大きいグループになるところを見たいと心の底から思った。
関西弁のお兄さんにはもう1つグループがあって、そっちもなんだか楽しそうで。心底かっこいいと思っていたからこそ、もう1つのグループの活動も応援したかったし、大好きになった。
「エイトが無くなる時はこの世界を辞める時」
ただ、その一言だけが心配要素だった。
NEWSは?
数年後、真ん中のふたりが抜けた。
"同担"といわれる、わたしと同じお兄さんが好きな子に
「2人やめるらしいよ〜」と言われた。
ネットニュースの画面と共に。
塾の授業終わりだった。
彼女はそんなに寂しくなさそうだった。
わたしの大好きなグループが壊れる。
大好きな2人がいなくなる。
6人での活動が見られなくなる、6人揃うことが無くなる。あの楽しそうな元気の源が無くなる。
iPodで音楽聴きながら、彼らのパートを聴いては泣き、ジャケ写から彼らの姿を消しては泣いた。
ツアーパンフレットやアイドル誌を見ては、未来について語る彼らの姿に憤りを感じた。
発表後、本当に6人の姿は見られなくなった。
メンバーがそれぞれコメントを言い始めた。
報道番組で涙しそうになりながら、これから前を向くと語ってくれる人もいた。
私も前を向かないといけないと思った。
でも正直あんまり記憶が無い。
できるだけ6人やそのグループからは目を逸らした。それぞれに応援したいと思ったけど、目を逸らしながら過ごした。
顔を見たら、また負の感情が芽生えそうだから。
「ここにいてもできたことあったじゃん」
「貴方は辞める必要なくない?」
「これからのグループのこと考えた?」
「あの楽しそうな姿は全部嘘?」なんて。
不仲だったとか、格差だとか、いろんなことを言われていた。いや、そうじゃないよ、と思った。
でも根拠がなかった。わたしはファンだから。
悔しかった。
しばらくして、NEWSは復活する。
4人だけど、大好きな2人は居ないけど、ちゃんと素敵なグループだった。復活後初めて行ったライブで泣いた、お母さん隣にいたけど、めちゃくちゃ泣いた。
そして、1人の彼も、7人との道を選んだ彼も前に進んでいた。
それぞれの活動が軌道に乗り始めて、6人をテレビで見る日が増えた。みんな笑顔だった。
どうにかして6人揃わないかな、心の奥で思う気持ちに蓋をした。無理だから。
だけど、それからの応援は本当に楽しかった。
彼がいる7人のグループはもっともっと大好きになったし。
4人になったグループはこれまでとは違う明るい雰囲気で楽しかった。
数年後、関ジャニ∞からメインボーカルが抜けた。音楽に専念したい、と言った。たぶん。
「なにそれ、辞めなくてもいいじゃん。ここでもできるじゃん。」
記者会見はほとんど見れてない、覚えてない
脱退、本当に嫌い。
このグループだけは永遠だと思っていた、だって、そのためにグループやめた人だっているんだよ?永遠だと思ってた。
でもそうじゃなかった。
不思議なことにやっぱりメンバーは前を向いてて、ファンも前を向いてる人がいて、
わたしはそうじゃなくて。
最後の関ジャム。
わたしの大好きな人が、演奏しながら涙をこらえる姿を見た。
ダメだ、見れない。泣かない人なのに。
テレビも何も見れなかった。
友達に誘ってもらって行くことが出来た6人のコンサート。
初のセンター、みんなを背負ってたつ彼の姿は、大きくて小さかった。
ドームを見上げて楽しむ姿、ファンの姿を愛おしそうに見つめる姿。
本当に本当に頑張ったね、頑張ってきたね。
笑っててね、応援してるからね。
心の底から思った。
7人の映像は見れなくて、避けた。今だけを見るようにした。6人で頑張ってるんだ。大丈夫。応援するんだ。
1番大好きな彼がグループを脱退し、事務所を辞めることになった。
ショック、。
だけど、そうだよね、とも思った。
ここにいて、やりたいことも、見たい景色も、理想だった形も、あったはずなのに、その道は選べなかった。だから違う道を選ぶ。それが彼の選択だった。
不仲だとか、決別とか、
またいろんなことを言われた。
あんなに仲良かったのにそんなわけない。
だけど、根拠がない。ファンだから。
わたしたちは彼らを応援できるけど、彼らの選択は彼らにしかできない。
そして、彼らの未来や目的地を私たちが選ぶことはできない。
痛感した。
みんな一緒に、永遠に、そう簡単じゃない。
そんなわたしが、今転職をしようとしている。
「もうちょっとやってみたらいいじゃん」
「ここの方がいいよ」
「ここでももっといろいろできるよ」
だけど、揺らいだ気持ちは変わらない。
わたしたちはファンであり、彼らはアイドル。
わたしたちは彼らの力になれるし、彼らを輝かせることが出来る。
わたしたちは彼らから元気を貰うことができるし、活力に繋がっている。支え合う関係。
ただ、わたしの選択は私にしかできないように、
彼らの選択は彼らにしか出来ない。
アイドル界には素人からは分からない何かが蠢いているのかもしれないけど、それはわたしにはどうすることも出来ない。推測で行動を起こすことは出来ない。
ただ、わたしは彼らを応援することができる。
いろんな人の思いを背負って、自分の未来のために重たい暗い決断をした彼らのことを応援することはできる。
一緒に走った、あのときは、彼らの笑顔は、わたしたちにくれたパフォーマンスは、本物だから。
そんな彼らだから好きになったんだから。
そんな思いで、アイドルを追い続けて15年。
小学生のわたしはアラサーになった。
楽しくない、辛い、そんな時が沢山あった。
辞めればいいのに"オタク"を辞められないのは、やっぱり彼らが好きだから、彼らの生き様をリスペクトしているから。
独立したお兄さんも、報道番組で取り上げられるようになったり、ホールツアーをたくさん成功させたり、ドラマが放送されるようになったり、着実に前を向いて歩いている。時間はかかるけど、みんな前を向いている。
「ここでもできることはある」
けど、
「ここじゃないからできること」
が本当はあるのかもしれない。
でも根拠はない。ファンだから。
今の立ち位置の彼らを本当に応援しているし、パフォーマンスにまた心を動かされている。
そして、他の若いグループの応援も始めている笑
また痛い思いをするかもしれないのに。
やっぱり楽しいから。
トップアイドルを志す彼らの周りがどうなっているのか、どんな辛い環境なのか、素敵な環境なのか、わたしにはわからないけれど、たくさんの人に勇気を与えられる存在である彼らをいつまでも大切にしていきたい、応援していきたい。
そんな一心でアイドルのファンをやっている。
また、悲しいことがあるかもしれないけれど、きっと今の笑顔は本物だから。
夢を目指す、全てのアイドルに幸あれ。
そして、アイドルを応援する素敵なみなさんが幸せでありますように。
らん